師匠がとある教会から受注した巨大な祭壇画
今から20年ほど前、イタリアで
その準備から完成まで、アシスタントとして参加し
備忘録として、当時家族・友人に送った進捗メールを
もとにつづる制作秘話その3
アグリジェント・神殿の谷 Wikipediaより転載 (poudou99 - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0
, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5569610による)
明けて2002年、1月7日に再スタート。
2000年の記念事業にもかかわらず、まだ作業まっさかりなところはさすがイタリア。
7週目、新年最初の描画は中央の十字架上のキリストから。描画区分(ジョルナータ)は、(月)頭部と右腕(火) 左腕と胴(水)キリスト周辺の空(木) 腰布(金)両足。キリストが完成!おまけに(土)には槍でキリストをつくローマ兵の一部も。
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昨年壁画スタートまもなく描いた十字架上部とその背景の空はかなり乾いてきており、色調をあわせるのが難しかったこと、この時期気温が低く描画時間を長く取れたこと、教会行事の間も退出せず足場に残り、長時間描いていたことを思い出します。
8~9週目には、中央部分のローマ兵と馬、聖母マリア(顔が気に入らずやり直し1回)、マグダラのマリアと背景、建築モチーフを終了。
10~12週目、最左翼の建築モチーフと背景の神殿と空。最後の3聖人、サンタ・ロザリア、サンタ・ルチア、聖ジェルランドで2週間と2日。
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この二人の聖女の顔では2度やり直しが入りました。作家はなぜかいつも二人セットで描いていましたが、一度目は画家本人が気に入らず、2度目は何かの影響で斑点状に色むらがあらわれ没に。
この斑点の原因について、足場に差し入れられたカーニバルの揚げ菓子「キャッケレ」の油脂が混入して悪影響を与えたのではと考察しましたが、もしかしたら、サンタ・ロザリアはやり直すたびに違う顔になり、3度目の顔が一番良い出来だったので(サンタ・ルチアはいつも美しい)自分の顔に満足しなかった聖女の「抗議表明」だったのかも(笑)。
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人物下の床タイルの部分に3日、アシスタントも参加して描きました。
左下に「ジュビレオ2000」の公式シンボルマークと作家・アシスタント・左官職人の名入れをし、2月22日ついに完全に終了!
計69ジョルナータ、うちやり直し7回
F. Chillura作・キリスト磔刑と聖人図(アグリジェントSan Pio X教会)
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シチリアの春
アーモンドの花 Wikipediaより転載
(Di Mick Stephenson mixpix 09:14, 16 March 2007 (UTC) - Opera propria, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1793088)
毎年2月に世界遺産「神殿の谷」で行われるアーモンドの花祭のこともメールにしたためていました。このお祭りは世界の各地から民族舞踊や伝統音楽の団体が来て演じるというもの。アーモンドの花がちょっと桜に似ていて、シチリアは春の訪れが早かったことを思い出します。
制作中、毎日教会まで徒歩10分ほどの宿舎から通っていました。終わってしばらくは朝起きて「今日はもう足場を上がらなくていいのか」とほっとしていたように思います。
足場の解体作業を見てさびしさも感じつつ、ようやく終わったんだと実感しました。
アグリジェント San Pio X 教会
地元のVIPも参列
壁画の聖別式・復活祭
壁画の聖別は2002年3月17日の復活祭にあわせて盛大に催されました。
多数の教区信者はもとより、地元の名士や市政関係者が招待され、
教区司教がパッパラルド枢機卿を招聘し聖別式が執り行われ、
作家への賞賛や寄付で制作をささえた信者たちへの
感謝が述べられました。
聖別式に配られた解説冊子と招待状
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